washiya 杉原商店 和紙っていいよね・・・通信 vol. 4

     和紙屋杉ちゃんのひとりごと 5月号 2000/05/01

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行楽シーズン到来。
と言っても福井(越前和紙の里)は毎年5月3、4、5日は1000年以上続
く和紙のお祭りです。
祭りのクライマックス、御神体を奥の院に納めしたあと、空の神輿で里宮
へと帰るときに
歌われる「まつざか」・・・幻想的です。


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さ〜今月は祭りから始まります。

■□■ 今回のみどころ ■□■

1) スプレーのり
  
2) ケナフが地球を救う!?

3) ビオレの宣伝

4) イベント情報

編集後記・・・1300年続く和紙のお祭り

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1)スプレーのり
   
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スプレー糊ってご存知ですか?
紙にスプレーを吹きかけるとやがて糊になって色々なモノに貼れます。
勿論和紙を瓶に貼ることも出来るのです。
デザイナーの方たちは、試作品やプレゼンの折り、良く使用されるそうです。
・・・実は私は、最近初めてお聞きして感動したのです。

この効果を利用すると毛羽の隅々までのり付けが可能なので、毛羽立ちを
生かした、ラベルが作成できます。(指でぐりぐり毛羽を四方に伸ばして
やると、さらに効果大です)

この場合、紙は何でもいいのです。
・・・出来るだけ毛羽立ちの多いような和紙にコピーやインクジェットで
印字して、朱印を押したりして、回りをちぎります。
適当な和紙に印刷して、折り目を付けて、水を付けてゆっくり引きちぎると、
それなりに見えます。(面倒ですかね?)
そのあと、このスプレー糊を裏面に一吹き(住友スリーエム株式会社
「スプレーのり55」や「77」あたりの弱めの糊が扱いやすいと思います。)
そのまま瓶に貼り付ければ出来上がりです。
ついでに吹き付け時にスプレーの飛び散りを防ぐ「スプレーブース」
なんて段ボール製品も900円位でアスクルで販売してます。大量にのり付け
される場合は一つ有ると便利です。

私は3Mやアスクルの回し者ではないのですが、大変便利で、和紙の用途が
広がるので、驚いています。

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さらに進んだ、もう一つの方法・・・
この方法は福井のお花屋さんとの会話で閃いたのですが、このお花屋さんは
羽二重紙を全色A4判で早速購入されました。

印刷適性のいい「羽二重紙」に印刷(場合によっては両面に)して、スプレー糊
でお店のシールを作られるそうです。
フラワーアレンジの最後のとどめに、和紙をちぎってフィルムを止めて出来上がり。
暖かみのある和紙の耳付きシールでお店の宣伝に。
ラッピングの仕上げに個性的な和紙シールとしても・・・いける!!

この場合は、スプレーのあと、直接モノに貼らずに、剥離紙(セパレーター)
(シールなどの裏に張り付いているツルツルした紙です。)に取りあえず貼って
おきますと、糊が乾かないので何時でも使用する時にちぎってシールに使えます。
(いいでしょ)
このセパレーターは何度でも使えますので、シールの裏紙は捨てずに取って
おきましょう・・・

==スプレー糊からシールの出来るまで==

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==ガラス瓶に貼りました==

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2) ケナフが問題

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「福井ケナフの会発足」(4月6日地元福井新聞の記事です。)

「温暖化防止効果があり新資源として注目の植物『ケナフ』の普及を目指す・・・
二十一世紀を担うこどもたちに美しい環境を残しましょう・・・ケナフはアオイ科
の植物で、二酸化炭素の吸収が多いことから地球温暖化の防止に役立ち、
木材パルプに代わる紙原料や建材、食材としても開発が進められている。
会費は個人が1000円、法人が1万円」

話は変わって「セイタカアワダチソウ」って聞いたこと有ります?北アメリカ原産の
草で綺麗な花として観賞用に誰かが持ち帰ったものが凄い繁殖力で川の土手や
荒れ地に群生し、日本の植物文化を塗り替える危険まであったそうです。

もう少し突っ込みます。
ケナフとは? アオイ科ハイビスカス属の一年草の種子植物です。
65年前栃木県と宮崎県の農業試験場が中国から種を手にいれて育ててみたのが
始まりで。勿論、昔から日本に生息していた訳ではありません。

確かにケナフは二酸化炭素の吸収は他の植物に比べ多いそうです。
そこで、話が終わればいいのですが、和紙の関係者にはさらに続きがございます。
こんなに素晴らしい植物が和紙の原料にもなる・・・と、どなたかが仰ったのか、
無かったのか・・・

でもおかしいのです、紙の原料ならケナフよりは楮や三椏を植えて欲しいのです。
少なくともケナフは和紙の原料としては好ましくありません。
いやむしろ繊維を取り出すまでのエネルギー効率は悪く、和紙には適さないと
言って欲しいのです。

恐らく「福井ケナフの会」のような団体は全国各地でタケノコのように無数に
発足していると思います。そのうちにやってくるのです、「このケナフで和紙を
漉いて欲しい」って。その時和紙関係者は胸を張ってこう応えて頂きたい
『ケナフは二酸化炭素の吸収はいいかも知れないが、和紙の原料としては適さない
。どうしてもと言われれば紙に出来ないことは無いが、その工程は大変手間がかかり
エネルギーを使い労力を使いむしろ、地球温暖化につながってしまう。
和紙に携わる業者としてはケナフを育てて頂くよりは、楮や三椏を育てて頂ければ、
処理が慣れている上に良い紙になる。しかもその紙は1000年保つ実績がある。
何より日本の環境に適しているじゃないですか!』

ケナフであれば何でもいい・・・はずが無いことを認識して頂きたい。
(ちょっと気合い入り過ぎかな??)

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3) ビオレの宣伝

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ビオレの宣伝ご存じですか?
松下由樹が出てきて、
『酸性、中性、アルカリ性 お肌に一番近いのは弱酸性・・・』
ってあれです。

私はこれは和紙にも言えると感じます。
越前の和紙のペーハーを計りますと、ほぼこの弱酸性になります。
洋紙がペーハー7で完全中性、保存できます・・・なんて販売してますが、
本当にそうでしょうか?
「長期保存に使うから中性じゃないとだめだ」と言われる事が有りますが、
はたして本当にそうか?中性でさえ有れば、長期保存に耐えるのか?
和紙の実績は1000年の実績がございますが、洋紙の実績はこれからです。
私はこの弱酸性に意味があるのでは無いかと感じています。

むしろこれからは「お肌に一番近い、弱酸性の和紙」・・・って大きく
宣伝しようかと考えているくらいです。
ビオレさん、ありがとう!!

科学的な裏付けはありません。
でも実際に本当の所、経時変化を確認できるのは、100年後とか500年後とか
先になるでしょう。

私は、何となく中性の洋紙より弱酸性の和紙の方が経時変化に強いのでは無いか
・・・と感じている・・・にすぎません。
そもそもどうして中性が騒がれるようになったかといいますと、西洋の本は
洋紙で印刷され装幀され、100年たつとボロボロになった。
これは、紙が酸性だったから・・・というのが理由だと思いますが、
もしかしたらボロボロにな ったのは酸性のせいよりも、洋紙だったから
・ ・・かも・・・

洋紙って原料を粉々に砕いて、固めて、もとの繊維の原型を留めない、
明らかに繊維を痛めつける作り方です。
一方和紙は繊維をそのまま生かして絡める作り方ですので、繊維の痛みも少なく 、
結果として繊維は丈夫で長期保存可能・・・のはず・・・

どなたか科学的な解明をしてほしいところです。
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以上「和紙のメーリングリスト(ML)」より抜粋
リストの参加方法は和紙屋のトップページからどうぞ・・・
http://www.washiya.com/

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4)  イベント情報

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●6/1〜7 の「全国和紙展」(大阪、近鉄百貨店)では各産地が集まります。
●東京では6/16〜22に。青山の伝統的工芸品センターにて、
阿波しじら織と共催で阿波和紙を出品します。
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以上、(徳島の工藤様より)

その他のイベント情報をお待ちしています。
(基本的にお送り頂いた情報は全て掲載するつもりです。)

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■□■編集後記■□■(訂正など)

・・・最後にちょっとお願い・・・
和紙に「漆」を塗った商品を試作しました。
よろしければご意見をお聞かせ下さい。
ちなみに「漆」の英語名はjapanです。
ページをご覧下さい。
ついでに名前を募集してます。もし、名付け親になられたら、粗品進呈。

先月号(4月号で)お伝えした「無印良品」の韓国製手漉き紙の話・・・
「西武の無印良品で手漉き和紙が販売されているのはだいぶ前からです。」
とのご連絡を頂きました。(山下よしひささんありがとう)
私の注意力が足りなかっただけのこと・・・しかしこれでいいのか?
そんなのに負けない「和紙」を作らねば!!

今月号の冒頭の越前和紙の祭りについて・・・追記・・・
平成10年11月青年団の全国大会で「特別賞」を受賞しました。
冒頭の「まつざか」は「松坂唄」と言われ、おそらく江戸時代には
歌われていたと思います。
祭りの歴史ですが、平成18年に39回目の式年大祭を迎えます。
式年大祭とは御開帳のことで、33年に1度行われます。
単純に計算しても、1300年近くの歴史があることになります。
神社に残る最古の記録は、1585年の第26回大祭のもので、
それ以前の記録は、忽然と消えてしまっているそうです。
このあたりが、なんとも五箇(特に大滝)らしくて、ずぼらな性格は、
先祖代々であることが証明されています。
近い将来、この祭り自体が、国の文化財保護を受けると聞いています。
全国でも類を見ないこの祭りを、永久に残すためにも、地元の方々には、
極力参加して頂きたいものです。
ね、杉原さん?
(以上、福井の山下泰央(やすたか)さんからのレポートです。
私も今年こそ奥の院へ!!・・・杉)

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今度こんなイベントを開催する予定」・・・等々、和紙情報をお寄せ下さい。
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●フアックス 0778-42-0144
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