日本画家平山郁夫(元・芸大学長)の巨大壁画用紙はこのように作られて、
薬師寺に「大唐西域壁画」として奉納されました。(平成12年12月31日)
今回は、それ以来の紙漉きという貴重な作成現場を、岩野平三郎(福井県無形文化財)さんに密着取材です。
ここで漉いている紙の大きさは9尺×12.5尺・・・2700×3700ミリ余り
(別枠寸法・・・2100×4000ミリもあります)
あまりに大きな紙のため、紙漉と乾燥には1週間以上のリードタイムをもちます。
●巨大壁画用紙を漉く風景●
2003.0307
左の写真 右手前が・・・落ち着かない様子の平三郎さんです。 |
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これだけの大判を作成するには、当然多くの職人が必要で、しかも、皆の気持ちが一つに成らねば良い紙は出来ません。 緊張のうちに、紙漉が始まりました。 |
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これだけの大判です。 漉いた紙を伏せるのも大変な作業になります。 |
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シワにならないよう 水泡が入らないよう・・・ 慎重に慎重に、紙が伏せられてゆきます。 |
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途中の水泡は残さず取り除かねばなりません。 |
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伏せたあとは、さらに布をかぶせて、 やっと一枚、伏せ終えました。 |
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大紙漉きが、如何に大変かを物語る楽屋裏風景です。 |
●巨大壁画用紙を乾燥する風景●
2003. 0228
この板が無いことには、和紙が乾燥出来ないのです。 巨大な雌イチョウの板。越前では、この板で乾燥することが、高級和紙の一つの証明でもあります。 銀杏の、それも雌の(銀杏のできる木)が和紙を乾燥するには最高の板とされています。 これだけの巨大な板を作成するには、天の恵みを待つしかありません。 |
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慎重に一枚ずつ、紙床から移します。 中央で心配げに作業を眺めてられるのが、平三郎氏です。 「しっかり撮れよ〜」と、声を掛けられました(笑) |
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これだけ大きいと、板の取り回しも大作業になります。 とにかく体力が居る仕事、大男たちの出番です。 |
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上部から慎重に貼られてゆきます。 通常は、張り場で力を発揮する男達が、壁面に向かいあって、悪戦苦闘です。 |
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ここで、シワになったら、今までの苦労が水の泡・・・ | ||
さすが! 四人の息もピッタリ合って。 見事に貼り上げられて行きます。 |
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四人が一列になって・・・ 素晴らしい連係プレイです。 |
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張り上げられた板も これだけデカイとホントに動かすのも一仕事。 |
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この作業を何枚も繰り返してゆきます。 | ||
貼り上がった板は 特性の巨大「ムロ」へ! 今で言う、乾燥室ですね。 |
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ガガガガガ・・・っと とにかく力仕事。 無事乾燥が仕上がる日を待つことに成ります。 |
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そして、仕上がった巨大壁画用紙です。 とても怖くて触れない・・・なんて、しっかり触って、体感してきました。写真の手は平三郎さん。 ありがとうございました。 |
皆様、大変お疲れさまでございました。
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Washi Sommelier and Washi Curator.
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